抜け毛は1日何本まで正常?本数を数えられないときの3つの判断軸
「これは普通の抜け毛なのか」を確かめたいとき、本数より先に見るべきものがあります。
排水口にたまった毛を見て、あるいは枕についた毛の量を見て、これは普通なのだろうかと手が止まる。そういうときに知りたいのは、たいてい一つのことです。いま起きているのは放っておいていい抜け毛なのか、そうでないのか。
検索するとまず出てくるのは「1日50〜100本程度が目安」という数字です。ただ、この数字を知っても不安が消えないことが多い。理由ははっきりしていて、ほとんどの人は自分の抜け毛を数えられないからです。
この記事では、本数という物差しがどこまで使えるのかをまず整理し、そのうえで本数を数えなくても確かめられる3つの軸を並べます。断定はしません。できるのは、いま自分が見ている情報を、判断に使える形に並べ直すところまでです。
よく言われる「1日50〜100本」という目安
髪には生えて伸びて抜けるという周期があり、常に一定の割合が抜ける時期に入っています。だから健康な状態でも毎日いくらかは抜けます。一般に、1日あたり50〜100本程度が自然な範囲としてよく紹介されます。
この数字自体は目安として役に立ちます。「抜けること自体は異常ではない」と分かるだけで、不安の一部は整理されるからです。
ただし、目安には前提があります。髪の総本数も、髪質も、季節も、その日の行動も人によって違います。 髪が多い人と少ない人では、同じ割合が抜けても目に映る量が変わります。長い髪は同じ本数でも量が多く見えます。数字は平均であって、自分に当てはめた基準ではありません。
本数を数えても答えが出にくい3つの理由
数える場所がばらける。 抜けた毛は排水口、枕、床、ブラシ、着ていた服に分かれて落ちます。一般にシャンプー時に多くが抜けるとされますが、それでも全部を集めるのは現実的ではありません。集めきれない前提で数えた数字は、実際より少なくなります。
比べる相手がいない。 今日100本だったとして、それが多いか少ないかは先月の自分と比べないと分かりません。ところが気になり始めた時点では、比較対象の記録がないのが普通です。気にし始めた日から数え始めても、増えているのか元からその量だったのかは判定できません。
数えている間に条件が変わる。 洗う頻度、ブラッシングの回数、季節、体調。どれか一つ変わるだけで抜ける量は動きます。同じ条件で並べないかぎり、数字を並べても比較になりません。
つまり本数は、目安としては有効でも、自分の状態を判定する物差しとしては弱いということです。ここから先は、数えなくても見られるものを使います。
判断軸1:抜けた毛そのものを見る
数えるのは難しくても、1本を手に取って見ることはできます。 見るのは3点です。
太さ。 まわりの髪と比べて明らかに細い毛が混ざっていないか。髪は周期の中で太く育ってから抜けるのが通常の流れとされます。育ちきらないまま抜ける毛が増えると、細い毛の割合が上がります。
長さ。 数センチ程度の短い毛が目立たないか。短いということは、伸びる期間が十分にないまま抜けたということです。1本や2本なら気にする必要はありませんが、抜け毛の中で短い毛の割合が増えているようなら、それは本数よりも情報量のあるサインです。
毛根の形。 抜けた毛の根元に、白っぽいふくらみがあるか。健康な状態で抜けた毛には、丸みのあるふくらみが付いていることが多いとされます。逆に、根元が細く尖っている、色が濃い、形がいびつといった毛が目立つ場合は、周期が乱れている可能性が指摘されています。
ただし、毛根の状態は肉眼で見分けにくく、判断も分かれます。ここで白黒をつける必要はありません。気になる特徴があるかどうかを覚えておく、という使い方で十分です。
判断軸2:抜け方に偏りがあるか
量よりも、どこから抜けているかのほうが読み取れる情報は多くなります。
全体からまんべんなく抜けているのか、特定の場所に集中しているのか。分け目や生え際、頭頂部といった一部だけが目立って変わってきているのか。左右で差はあるか。
偏りがあるときは、全体の量が増えていなくても見た目には大きく響きます。逆に、全体から均等に抜けていて場所ごとの差がなければ、量が増えたように感じても見た目の変化は出にくくなります。
なお、円形にごっそり抜けた部分がある場合は、この判断軸の話ではありません。 頭皮の状態を含めて確かめる必要があるため、後述の医療機関の項を先に読んでください。
判断軸3:残っている側を見る
ここがこのサイトで一貫してお伝えしている見方です。抜けた毛より、残っている髪のほうが、実は多くを語ります。
薄毛が目立つかどうかを決めているのは、毛の量そのものではありません。地肌と髪の明暗差と、濃いところと薄いところの落差です。地肌が見える面積が同じでも、髪との明暗差が小さければ目立ちにくく、大きければ目立ちます。濃い部分の隣に薄い部分があると、その境目で落差が強調されます。
だから確かめるべきは次のようなことになります。
- 同じ照明、同じ時間帯、同じ髪の乾き具合で見たとき、地肌の見え方が以前と変わっているか
- 髪が濡れているときと乾いているときで、見え方の差が大きくなっていないか
- 根元の立ち上がりが弱くなって、髪が地肌に沿うようになっていないか
- つむじや分け目の周辺で、濃い部分と薄い部分の境目がはっきりしてきていないか
抜け毛の本数は変動しますが、残っている側の見え方はゆっくりとしか動きません。 そのぶん、条件をそろえて比べれば変化を読み取りやすくなります。月に一度、同じ条件で写真を撮っておくと、記憶に頼らずに比べられます。
季節や一時的な要因で説明がつく抜け方
抜け毛の量には波があります。季節の変わり目、特に秋にかけて増えたと感じる人は多く、一時的な変動として説明されることがあります。
一時的な要因で増えている場合には、いくつか共通の特徴が見られます。
- 増えた時期がはっきりしていて、それ以前は気にならなかった
- 全体から均等に抜けていて、特定の場所に偏っていない
- 抜けた毛の太さや長さは以前と大きく変わらない
- 残っている側の見え方は、条件をそろえて比べるとあまり変わっていない
反対に、増え方がゆるやかで始まりがはっきりせず、抜けた毛に細く短いものが混ざり、特定の場所に偏っているという組み合わせのときは、一時的な変動として片づけにくくなります。この場合は、時間が解決するのを待つより、状態を確かめたほうが選択肢は多く残ります。
セルフチェックの範囲を超えるサイン
ここまでの判断軸は、あくまで自分で確かめるための目安です。医学的な診断ではありません。次のいずれかに当てはまる場合は、判定より優先して医療機関にご相談ください。
- 円形にごっそり抜けた部分がある
- 数週間で急激に抜け毛が増えた
- 頭皮に強いかゆみ、赤み、痛み、大量のフケがある
- 産後、病後、服薬開始のあとから始まった
- 抜け毛と同時に体調の変化がある
抜け毛は髪だけの問題として起きるとはかぎりません。体の状態を反映していることもあります。どこにかかればよいか分からないという理由で先延ばしになりやすいところですが、確かめること自体には副作用がありません。
次の一歩
ここまでを読んで、自分がどの状態に近いか、いくつか当たりがついたはずです。次に確かめるとよいのは、抜けた毛の特徴をもう少し細かく見分けることと、いまの段階なら髪型でどこまでカバーできるのかの2点です。
後者については、薄毛が目立ちにくい髪型の選び方で、この記事と同じ考え方(明暗差と落差)にもとづいて整理しています。良かれと思ったケアが遠回りになる例は、薄毛でやってはいけないNG習慣にまとめました。
数字を数えることに時間を使うより、条件をそろえて残っている側を記録するほうが、あとから振り返ったときに役に立ちます。今日から始められて、今日いちばん確実に減らせる不安は、そこにあります。
よくある質問
1日に200本抜けていたら異常ですか。 一般的な目安を超える量ではありますが、その1日だけで判断するものではありません。集めきれていない分もあれば、逆に数日分がまとまって落ちていることもあります。続いているのか、抜けた毛の質はどうか、偏りはあるかを合わせて見てください。
抜け毛が多いのに薄くなっていないのはなぜですか。 抜ける量と見た目の変化は、直接つながっていません。抜けたぶんが同じ太さで生えていれば、量が多くても見え方は変わりません。見た目を決めているのは、地肌との明暗差と、濃い薄いの落差のほうです。
シャンプーの回数を減らせば抜け毛は減りますか。 洗うのをやめても、抜ける時期に入った毛が抜けなくなるわけではありません。洗わなかった日の抜け毛は、次に洗ったときにまとめて出てきます。頭皮環境という点でも、洗わないことが有利に働くとはかぎりません。
毛根に白いものが付いていたら危ないですか。 毛根のふくらみは、健康な状態で抜けた毛にも見られます。白い付着物だけで判断はできません。太さ、長さ、毛根の形を合わせて、全体の傾向として見てください。
参考・出典
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」 https://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/4742/
- 厚生労働省「医療広告ガイドライン」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
本記事は一般的な情報の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。判断に迷う場合は医療機関にご相談ください。
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。薄毛の原因や対処には個人差があります。症状や進行が気になる場合は、医師など専門家にご相談ください。